【ブログ小説】読むだけで気持ちが熱くなる野球の決勝戦。実話を元に弱者が強者に勝った話(野球好き必見)
こんにちわ、よってぃんです
今回は前回の野球小説の続きで
第2話です。第1話はこちらから↓
【ブログ小説】読むだけで気持ちが熱くなる野球の決勝戦。実話を元に弱者が強者に勝った話(野球好き必見) - CrazyBoy8112mijgroup’s diary
それではまずプロフィール再確認から
主人公チーム ファイターズ
スターティングメンバー
本田くん 五年生
代々木くん 四年生
山田くん 五年生
角元くん 五年生
鈴木くん 五年生
佐藤くん 五年生
門田くん 四年生
僕(よってぃんです) 五年生
大原くん 四年生
ファイターズOB.関係者
長谷川先輩 (僕がお世話になった先輩)
大山監督
市原先輩 (僕らが四年生の時のキャプテン)
主要選手
藤浪くん 五年生 イーグルスエース
進藤くん 五年生 イーグルス四番
イーグルス詳細
地元最強チーム。強いとこと強いとこが合併して出来たチートチーム。
以上を確認してそれでは
必ず勝つために
長谷川先輩達の最後の大会が終わり
これまでチームを牽引してきた世代が終わり
新たな世代が幕を開ける
長谷川先輩世代の引退後、
市原キャプテンの跡を継いだのが
僕ら世代No.1の角元だ
角元は主に投手を中心に
捕手や内野手、時には外野も守れる
オールラウンダーだった
角元新キャプテンを中心に
新しい僕らの世代が幕を開けた
新チームが始まってすぐに
ファイターズはミーティングを行った
あの試合から既に一ヶ月が経っており
一ヶ月前、先輩達を破って次の大会へ
進んだイーグルスは準決勝で
隣の市の強豪に敗れた事が知らされた
この地元では未だ県大会に出た
チームが一つもなく先輩達に勝利した
あのイーグルスでさえも準決勝で敗れた
しかし新チームの目標は
県大会はもちろんのこと
先輩達を倒したイーグルスを倒すこと
それだけを掲げ練習が始まった
大山監督はあの試合の敗戦を生かし
どんなエース投手に対しても打てる
強力打線の構築を目指し打撃練習メインで
日々の練習をこなさせた
実際、新チームの世代は
強力打者が揃っており角元始め
そのほか打てる打者が揃っていた
長谷川先輩から打撃を直々に教わった
僕もその1人だった
大山監督は下位打線の打率低迷を考慮し
打てる打者をなるべく均等に分かれるよう
ランキング付けをし当時4位だった僕は
下位打線の四番を担えと八番を任された
打撃だけでなく守備面でも強化の意向を見せ
監督はハードなシートノックを毎日のように
新チームに課題として行わせた
だが監督の練習中時折見せる悲しげな顔の
意味を僕らは分かっていた
大山監督にとって負けていった先輩達は
監督にとって最も根深い関係だった
というのも大山監督が就任したのは
約6年前、つまり長谷川先輩世代が
入団した一年生の頃
6年間もの間、選手と二人三脚で
やってきた監督は先輩世代の敗退が
未だに信じられないでいたのだろう
それに自分を責める言動もあった
最後の大会終了後、監督は先輩達に
「負けたのは俺のせいだ
これまで点を取られなければ負けない
という理論から練習をさせてきた
俺の間違いから来た敗北
宮本の球を攻略出来なかったのも
俺がお前たちに打撃を教えてこなかったから
うちの投手陣が的場を抑えられなかったのも
俺が守備ばかりに意識を集中していたから
それにもっと采配を上手くできれば
お前達は負けることはなかった
最後の大会を負けで終わらせてしまった
本当に申し訳なかった」
あのいつも無口で表情を変えない
大山監督が先輩達の前で涙を流し
そう語っていた
一番思い入れのある世代の敗北
それは監督にも新チームにも
大きなダメージとして残っていた
それでもチームは前に進むしかない
とある雨の日、練習は中止になった
代わりに会議室を貸し切っての
作戦会議が行われた日のこと
イーグルス戦を目標にしていた新チームは
次に戦うであろう来年度、
エースナンバーをつけマウンドに上がる
僕らと同世代の藤浪対策や
新主砲となる進藤などの
対策会議が行われた
その帰り道、監督に呼ばれた僕は
監督が雨の中エンジンをかけ待っていた
車へと向かっていた
僕が車の前へ着くと窓を開け
「風邪引くからとりあえず乗れ」
そういわれ監督の銀色のセダンへ乗った
開口一番で監督は
「お前、長谷川からイーグルスを倒してと
託されたんだってな」
思いもしない監督の言葉に戸惑ったが
「はい、僕は未だにあいつら許せませんから」
そう強気に監督に放った
すると監督はあの試合の後
長谷川先輩と話したことを話してくれた
「あいつらが負けてしまったあの日
長谷川からお前の事を聞いたよ
あいつは本当にお前を可愛がってた
お前が入団してきてからずっと
お前のことばかり話してくれてた
俺は正直驚いたんだ、入団当初
誰よりも表情を変えず冷酷な顔をしてた
あの問題児長谷川が笑顔を見せたことに
チームプレイもせず単独行動
天才が故に周りと馴れ合わなかった
けどお前が入団してきた日から少しずつ
あいつは変わっていった
あの長谷川がお前に託したもの
俺も一緒に叶えてみたい
あいつはお前らなら大丈夫だと言ってた
だから俺もお前らと心中覚悟で戦うつもりだ」
監督は長谷川先輩との思い出を
淡々と語ってくれた
夕焼けの中、球場を見つめながら
長谷川先輩が夢を僕に託してくれたあの日
そして監督の
「野球で勝負を決めるのは強さじゃなく
どれだけ勝ちたいと思えるか」
という言葉に胸打たれた
話し終え監督に家まで送ってもらい
ドアを開け「お疲れ様でした」と
監督に挨拶をした時、監督は
「必ず勝とうな、来年」
そう僕に告げたその顔に曇りはなかった
僕はその日一番の笑顔と元気で
「はい!」と一言言って車のドアを閉めた
家のドアを開ける前、空を見上げ
この雨は先輩達の負けた悔しさを
きっと洗い流し、明日晴れて
新世代の幕開けをスタートさせる
なぜかそう思った
木々に実る草木が完全に散り
世代の終わりを告げた秋が去り
長い長い冬が雪と共に始まりを知らせた
地元で行われる冬季大会に参加し
順調に勝ち上がっていった
しかしトーナメント表にイーグルスの
名は刻まれていなかった
僕の地元ではかなりのチームが存在し
大会をやる際は地区ごとに二分割され
イーグルスとは常に別の大会だった
イーグルスと戦えるのは一年を通して
最も大きな大会である秋大のみ
しかし新チームは新たな壁に当たった
勝ち上がり迎えた準決勝
相手は秋大でイーグルスに準々決勝で敗れた
クーガースだった
クーガースはイーグルスほどではないが
地元最強クラスを誇っており
勝つことは容易ではなかった
試合は惜しくも敗北に終わった
ミスにミスが重なり5-4の逆転負け
好調だった角元の足を引っ張り
取れるところでエラーをし
暴投や三振を繰り返し敗北
監督が目指してきた鉄壁の守備陣も
慣れないポジションに選ばれた選手により
ミスを誘発し失点続きだった
少し前までの先輩達の世代のスタメンは
角元と山田、鈴元を除いて全員控え
スタメン出場というプレッシャーもあった
それに中には二軍から上がってきた
選手もちらほら見られた
今回の大会でも課題が見つかるだけで
勝ち進むことは出来なかった
冬の寒さを忘れ去るほどの熱狂を催す
冬季大会をよそにファイターズは
毎年恒例の冬合宿へと入った
極寒の寒さの中、汗が出ない体に
汗が出るまでランニングをしたり
霜が降って凍ったグラウンドでノックをし
怪我をするメンバーも出た
それでもチームは勝利の2文字を目指し
ひたすらに寒さと辛さに耐えた
中でも一番辛かったのは夕暮れ時から
日が沈みきるまでのベーランだった
嘔吐するものや倒れこむもの
涙を流すものまで出したこの練習
まるでそれは地獄のような光景だった
イーグルスが冬季大会を優勝したと
そんなニュースも耳に入っていたが
チームはそれでも走り続け
気がつけば冬合宿は終わっていた
冬合宿最後の練習の日、
一塁線の白線に沿って一列に並び
沈んで行く夕日を見ながら監督が
選手達の前に立ち話し始めた
「どれだけ練習をしても
どれだけ努力しても野球では
勝てない時がある
お前らが背中を追いかけ
憧れ続け最後の最後で敗れ
引退していった"アイツら"もそうだった
去年の冬、地獄のような日々を超えて
夢を叶えるため全てをかけて臨んだ秋大
しかし来年は違う
この辛い練習を乗り越えたお前らが
次にグラウンドに並び夕日を見上げるとき
そこには優勝を果たし涙を流す
お前らの姿があると信じている
どの世代も成し遂げることが出来なかった
優勝という栄光を成し遂げてるために
今日をその第一歩にしよう」
監督の言葉が終えると
後ろにあったはずの太陽が消え
辺りは暗くなっていた
冬合宿から帰宅後、両親が迎えてくれた
身も心も落ち着く実家に帰り
先輩との全てが終わったこの年の瀬に
別れを告げ新しい年がやってきた
夢を果たす年、バトンを繋ぐ年
そして優勝して次の世代へ今度は
僕ら世代がバトンを繋ぐ番がやってきた
去年、長谷川先輩がそうしたように
決戦の年が幕開けた
春の幕開けと夏の終わり
新年の桜が舞い散る中で行われた
春大決勝戦、相手はクーガースだった
冬大で負けた借りを返すため
チームは一丸となって戦った
しかし試合中にエース角元の怪我や
山田、そして鈴元の不調もあり
2-0の敗退
大会で負けては練習で辛い思いをする
その同じ繰り返しにチームは次第に
自信を失っていった
夏大でもそれは同じだった
二回戦という序盤戦で姿を消し
時期に来る秋大への自信が
完全に消えてしまったファイターズ
練習でも覇気がなく
ただ、悔いがないよう楽しくやればいい
そんな風潮が蔓延した
それは僕自身もそうだった
勝てない日々が続き練習では
それを巻き返すように辛い思いばかり
まだ幼い僕らにはそれは耐え難かった
それに加え離脱者も出てしまった
今日までスタメン起用をされていた
谷岡があまりの練習の辛さに
耐えきれずチームを去った
離れ離れになるチームに危機感を持った監督は
長谷川先輩たちをチームへ呼んだ
すると長谷川先輩たちは醜い僕らに対し
今まで見たことない怒りの姿を見せた
「お前らそんなんだから負けるんだ
勝つ負ける以前の問題だ
こんな覇気もクソもないチームが
負けたくらいで被害者気取りか?
お前ら俺らの夢を叶えてくれるんだろ?
俺らの夢は今のお前らじゃ絶対叶えられない
それくらいでかい夢だった
今のお前らに足りないのは技術や技じゃない
勝ちたいという気持ちそのもの
頼むからしっかりしてくれ」
先輩達の言葉にチームは立ち上がった
イーグルスを倒すという目標を
敗北の悔しさや無力感がかき消していた
チームは完全に息を吹き返し
練習試合では破竹の18連勝を記録
その勢いのままチームは遂に
全てが終わった秋大へ臨む
今度は全てを始めるために
イーグルスに勝つために
決戦の幕開け
戦いの火蓋は切って落とされた
くじ引きの末にファイターズはAブロック
イーグルスはBブロックという
うまくいけば去年の決勝カードになる
一回戦、タイガース戦
チームは鉄壁の守備を完全に取得し
角元の頑張りもあってノーヒットノーランで
試合を勝利に飾った
二回戦、リトル少年団戦
強力打線となったファイターズは
豪打が炸裂し二回コールド勝ち
三回戦、ヤングスター戦
投手戦の末に山田がサヨナラ打を放ち
チームは準決勝へ進出
準決勝、クーガース戦
序盤から4失点という大差をつけられ
1イニング一点ずつ返しじわりじわりと
クーガースへ追撃
その後、完全に立ち直った角元が
クーガース打線を完封
4-3の二死二三塁の状況で
僕まで回ってきた
2球目のインコースを打ち返し
センターオーバー放ちサヨナラ打となり
クーガースを下した
喜びに満ち溢れる中、
今大会No.2の呼び声高いドラゴンズを
イーグルスが準決勝にて9-0で下した
試合を見た僕らは驚愕した
イーグルスのエース藤浪は
相手打線を全く寄せ付けない
圧巻のピッチングを披露
主砲進藤は全打席安打を達成し
大会初となるホームランを放った
去年よりも強いと騒がれ始めた
遂にあの日の借りを返す時がきた
長谷川先輩の夢を打ち砕いた
因縁の相手との決勝戦が
3日後、あの日と同じグラウンド
あの日と同じ時刻で行われる
次回
最終話 「最終決戦」
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